ナラタージュ

原作:島本理生「ナラタージュ」
監督:行定勲ゆきさだいさお
2017
日本

葉山貴司(松本潤)
工藤泉(有村架純)
小野玲二(坂口健太郎)

2時間弱、最後らへんはどっぷり入り込んでた
妻の心を救うことができなかった先生とそんな先生に救われた泉
お互いがお互いを必要としていたのにどうしてこうも結ばれないのか
先生は一度は妻の心を救うことができなかった
そんな自信と活力をなくした先生が助けた相手が、たまたま生徒であっただけで
先生にそれらを取り戻させたのは彼女なのに、彼女もまた先生を必要としているのに
なぜ離れなければいけないのか
確かに先生は自分が支えられなかったことによって妻が壊れていった
それによって壊れそうになった自分を支えたのは彼女なのに
妻が立ち直ってきて、自分も立ち直ってきて、彼女もまた強くなって先生から巣立とうとしてた
そういう風に状況が修復されてきたら、辛いときに支え合ってた仲は
先生と生徒だったこと、まだ離婚をしていない間だったこと、妻が自分と会いたがっていること
そんな二人の間の感情とは別のもので引き裂かれていくの

柚子ちゃんは知らない人に襲われて心に傷を負っていた
その秘密を知ってしまった彼も戸惑ってどうすればいいのかわからなかった
そばで知らずに笑顔にしようと支えてくれていた彼を頼ってみた
助けを求めてみたにもかかわらず癒えなかった心の傷は、もう今のままずっと癒えることがない
そんな風に感じてしまったのだろうか
なにかあったら葉山先生を頼るといいよ、そんな先輩のことばに
先生はいつも気にかけてくれてる、そう答えた
泉は傷ついた姿を隠すのが下手だった、でも柚子ちゃんは上手だった
その違いが助けることができるかどうかの違いだったのではないか
柚子ちゃんの秘密を打ち明けられてた彼は、先生と同じ、いやそれ以上に自分が救えなかったことを悔やむのだろう
そうして傷を負った彼には、いずれ支えとなる人が現れる
そんな循環を連想させられた
でもその支えとなる人とはどこか結ばれない
そんな結末まで見える気がした

小野くん、ダブルバインドがすごすぎて怖かった
自分の名前を呼ぶことをしきりに望む姿は
幸せそうな家庭に育ったはずなのになぜ、と感じた
先生の存在がありつつも彼に寄り添っていこうとしている彼女を待ちきれなかったのだろう
今までは相手から距離を縮めてくるから自分が執拗に歩み寄る必要がなかった
でも泉は違った、自分が歩み寄らないと先生のもとへ行ってしまうかも
そんな不安感があまりにも消えなくて、あんな嫉妬に苦しんでいたのだろう
彼女も欲に溺れた、想いを募らせる人がいたにもかかわらず体を重ねたことは
自分が欲されている、その事実もまた彼女を支えることになることをよく表していた

泉はおしとやかだけど自分の思いをきちんと伝えられる芯のある女性だと思った

最後にまとめて、とりあえずよかった
湿気を感じる映画だった
障壁がある恋、愛はより想いを大きくさせる
でも結ばれない、切ない
ハッピーエンドじゃなくても大事な恋愛があることを教えてくれた
一生に一度の恋、あるんだと思った
最後の懐中時計、動かしてくれた彼と泉は新しく歩んでいくんだろうと
悲しいだけじゃない人生における1つの出来事、通過点であったことを感じさせ
まだ続いていく道を歩み始めたところがよかった

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA