既婚者との距離感でのたうちまわった in 留学先

イギリスの大学院に進学してはや3ヶ月が経とうとしている。
12月が目の前に迫っているということは、Autumn termも終わりに差し掛かっているということで、
1年間のMasterのうちの3分の1まで来てしまったようだ。
早すぎて訳が分からん!!

ここでの生活にもやっと慣れてきたので、
心の中に”Yes man”のJim Carreyを飼い始めており、
誰かに遊びに誘われたら断らない女になって、せっかくの留学生活を満喫しようぜなんていう余裕が出てきていた。

今回はそんな時に知り合ったウズベキスタン人の彼と、それによってのたうちまわることになった私の1週間の七転八倒について書こうと思う。

ウズベキスタン出身の彼と知り合ったのは、ELAS(English Language for Academic Study)という英語を母語としない留学生が、授業で必要であるエッセイライティングなどの技術を学ぶことができるオープンコースだった。
彼は超チャーミングな笑顔で、授業に遅れて入ってきた。
授業中も超にこにこしながら参加している彼を傍目で見て、
可愛いなこの人、なんて少し気を散らせながら2時間のThe process of essay writingの授業を終えた。

帰り道、すたすたとNorthfieldの寮に戻っていた道で、’Hi~’と彼は話しかけてきた。
早く寮に帰って昼ごはん食べたいし、友達と街に出かける約束してるから油売ってる暇ないの、
なんて思って、1回目はしれ~っと何も聞こえなかったふりをした。(私のJim Carrey休んでたみたい、めんご)
そしたらより大きな声で、’Hi~’って言われてしまって、
こりゃもう仕方がないわ、と思って、歩きながら彼と話し始めた。

彼は授業中とはうって変わって、少し人と話すのに慣れていない様子で、当たり障りのない自己紹介と、世間話をした。
彼はウズベキスタン出身の25歳で、Lawを専攻しているとのこと。
そしてどうやら私たちは同じBlock(建物)に住んでいたみたいだった。
互いのFlatの入口に着いたとき、思い出したように彼がWhatsappを交換しよう、と言ってきたので交換した。
ここまでが初めて会った日のこと。

会った日からWhatsappで話し始めた。
‘What’s your hobby?’ なんてどこぞの人付き合いに慣れてない人間かという質問をされたりして、
ちまちま会話をしていた。
(ちな私の趣味はドライブと読書、って答えた、これも当たり障りのない回答です。
そして彼の趣味は新しい言語を学ぶこと、だそうでなんか堅いな~嫌いじゃない★とか思ってた。)
彼は友達が欲しいと言ってきて、まあ当たり前に、「私も~」 なんて返した。

幾何かしたときに彼が「いまからフラットで自国の料理を友達に振舞うから、君もどう?」と誘ってきた。
私はその時、Statisticsの授業の48hours TAP(Take away paper)の真っ最中だったから、そんなことしている余裕もなく、お断りした。(TAPは割と悪夢だったhahaha、お願いだからPassしていてください)

でもそのあとも会話は続いてて、
「今日何か予定あるの?」なんて聞かれたり。
(これはこっちではみんな普通に聞いてくるから特に深い意味があるわけではないよ)
そしてStrikeでほとんど授業がない日に、彼のフラットに夕飯食べに来なよって誘われた。
でもその日の夕飯は、アメリカ人のフラットメイトがThanks Givingのdinnerをフラットメイトみんなに作ってくれるという日で、男のとこにノコノコ抜けていくことはしたくなかったから、結局また断ることになった。

まあ2回断ってしまったから、もう誘われることはないわ、と私のJim Carreyが冬眠しようとした日曜日の14時。
自室で勉強をしていたら、誰かから電話がかかってきた。
誰だよ、突然の電話好きじゃないんだよ、と思って画面を見たら、
まさかの彼からの電話。
まじでビビり散らかして、5秒間いや7秒間くらい電話が切れるのを待った。
しかし全然切れる気配がないので、観念して電話に出た。
電話の要件は、「何してるの?時間あるならフラットに遊びに来て、一緒にお昼食べない?」とのことだった。
いやもう昼飯食べたわ、と思ったし伝えたけど、「近くで勉強してるなら、もしよかったらおいでよ」と言われ、リアルタイムでの会話が求められる電話越しでこれを言われちゃあ断れない。
30分後に彼のフラットにいくことになった。

冷静に1対1なんだけどナニコレ~?って謎のオカマの人格を携えて、急いで準備をした。
そして彼のフラットの入口で待ってたら、彼が出てきて迎え入れてくれた。

彼のフラットのキッチンに通された。
部屋にはほかに誰もいなくて、ま~じか、と思いながら座ってこの状況はなんなのか考えてた。
冷静になってみると、彼は高身長だし濃いめのイケメンで、ただ眺める分に悪くないわと思ってた。
彼はスパゲッティ的なサムシングを作ってて、私におすそ分けしてくれた。(私昼飯食ってるのよ)

食べながらいろいろなことを話した。
ランダムに記憶に残っているのは、「ファッション好きなの?」と聞かれたこと。
確かにファッションは好きだけど、ファッションを好きと答えるとハードル上がるし、そう言えるほどの服装していないわ、なんていう無駄な自意識が駆け巡って、
「いや別にそこまででもないよ」なんて涼しい顔をしてしまった。
対する彼は、ファッションが好きなんだと素直に言ってきた。
大学のみんなはそこまで服装を気にしていない人も多いよね、と少し不満げそうだった。
シンプルな格好をしているのに様になる、そんなスタイルが彼は好きなようで、
私もそのようなスタイルが好きでそのような服装をしていたから、
なんか最低限の装飾で素材を最大限に活かそうとするところ似てるななんて思ってた。

そのあと、フラットメイトの話になった。
私のフラットメイトは結婚している一人を除いてみんなマッチングアプリをやってて、みんなで話すことなんてもっぱら男の話ばっかりだよ、ちょっと飽きてきた、なんて笑いながら話したら、「君はやってるの」と聞かれた。
やってない、と答えた流れで過去の恋愛の話になった。
私は留学に来る前に彼氏と別れてきてて、でも今は相手を探したりしているわけでは特にないの、と言うと、別れた理由とどっちが振ったのかを聞いてきた。
時差9時間の遠距離は厳しいと思ったし、私から別れを告げたのと答えた。
その他に理由はあったの、とさらに質問を重ねられて、
少し幼かったのかな、なんて答えた。
そしたら彼は「男の方が3歳くらい年上がちょうどいいよね」と言った。
(ここで瞬時に彼との歳の差が3歳差であることに気がつき、なんなんだ、これは始まるのか、なんて甘酸っぱい気持ちが湧き出そうになった)

他愛のない話の中で、彼の落ち着いた雰囲気と、誠実そうな感じによって着実に私の中で好感度が上がっていっていた。

そんな感じでそのあともいろいろ話してた時、ふと、彼の薬指にGoldのRingがあることに気がついた。
ちょ待てよ、と私の中のキムタクが言った。このままJim Carreyで突き進むとまずいんじゃない?って。
会話を続けながらも、きちんとそれが右手ではなく左手にはまっていることを確認した。
でも彼ファッション好きって言ってたし?とか意味わかんないことを思って、
結婚してるのか聞いてみちゃえ、と思って聞いた。
うん、普通に結婚してた。

はにゃ?
はにゃに相当する英語を私に教えてほしい、そんな馬鹿なことが頭に浮かんだ。
そのあとも彼は何も気にせず、話を続けた。
え、待って既婚者が自分のフラットに異性を1人を呼ぶのって全然オッケーなの?
なんにも考えなくて平気なレベルなの?
ぶわ~っと疑問が駆け巡った。
そんな中でも彼は何も気にせず話を続けている。
私は、うん、私の考えすぎだったわ、てへ★
異性であること意識しすぎだろ~、男女とかの前に友達じゃん~、思春期かよ~
なんて言い聞かせて、そのあと普通に会話を続けることにした。

結婚してることが発覚してから、
どういう文脈だったか「5 love language」の話になった。
まさかこれを知っている人に、特に知っている男性に会うなんて思ってなかったから、驚いた。
(これはパートナーとの非言語コミュニケーションは5つあって、そのうちどのコミュニケーションを好むかは人によって異なるというもの。例えばボディタッチのコミュニケーションで相手との距離の近さを感じるとか、それよりも相手がモノをくれることによって思いを感じる、など。普通にパートナーと良好な関係を築くうえで使えるから、ググってみてほしい)
なんでこれ知ってるの?と聞くと、「妻に何かをしてあげた時に、それがうまく伝わってない気がして、どうすればよりよく思いを伝えられるか結婚する前にいろいろ読んで調べたんだ」と彼は言った。
よくできた男すぎて言葉を失った。
そのあとのことはあまり覚えていない。

彼のフラットを後にしてから、やっぱりそれってありなんだ、気にしないんだ、ともやもやが残りながらも、まあ友達欲しいのは理解できなくないし、友達なら別に奥さんも気にしないよな、と思ってた。
きっとそれ以上に、彼の「異性を自分のフラットに1対1で呼ぶ」以外の点における、落ち着きと真面目さと、ムスリムであるからか、性欲的な獣らしさも感じられないところに、好感を持っていたのだと思う。その一点を除けば、本当にただのいい男なのだ。
(その日の彼は黒のシャツに黒のボトムスというオールブラックで、スタイルの良さが際立ってまじで似合ってたの)

その2日後くらいにまたフラットに呼ばれた。
前回は食事を作ってもらったので、何かお返しをした方がいいよなということで、変に意識して断らずに、日本の何かを作ることにした。
彼はムスリムで、豚と酒はアウトである。
ハラルのものは食べることができると言われたが、もうどれにしろ引っかかりそうで怖くなり、
そういう点では超安全である、めちゃ簡単なきなこもちと煎茶を作った。
(ちなみにきなこもちを食べた時の彼の感想は、「Gummyだね」。
 正直だねアンタ、Sugarcoatできないの)
その日も他愛のない話をして、話の流れで日本のラーメンの話になった。
日本人ですがラーメンが作れるわけではありません、そう伝えたけれども、
でも作れるよね?の謎の一点張り。
君作れるよね?食べたいんだけど、と言われ、まあやるだけやってみるかと思って日曜に作ることになった。
そして今まで2回とも彼のフラットを使わせてもらっていたので、
今回はさすがに自分のフラットに呼んだ方がいいと思って、来てもらうことになった。

その間もWhatsappで会話を続けてた。
そしたら、一緒にLondonに行こうと誘われた。
Hmmm、なんかまたわからなくなってきた。
これって浮気になっちゃうんじゃないん?
というか私の気があるとかじゃなくて、既婚者が異性と1対1で会い続ける、かつ少し遠出をする、ってさすがにどうなのと思った。
そこからぐわっと罪悪感が襲ってきた。
もしこれで相手が私を好きになってしまって、
(私はそんなすぐに人を好きにならないし、その点では自分を超信頼できる(突然の自分への全信頼))
向こうの奥さんに訴えられたらどうしよう、彼法律のエキスパートだから助けてくれるのか?私側に着くの?なんていう進み過ぎた物語が見えた。

彼との一連の出来事を文化人類学を専攻しているインド人のフラットメイトに話すと、
ムスリムは4人まで奥さん持てるからねぇ、と言われた。
2人目の嫁として名乗りを上げるのはまじでカオスすぎる。
私何しに来てるんだよ、と二人で笑いが止まらなかった。

うんこれ以上はよくわかんなくなるからやめておこう。
そう思いながら日曜日を迎えた。
彼がフラットに遊びに来るのは夜の7時ごろ。それまでは勉強をしていた。
(「不倫 定義」などをラビットホールしたのは忘れましょう)

夜7時。彼は自分に似合う服装をわかっているからその日もただ眺められる人間だった。
Taj(キャンパス内のスーパー)にしょうがを買いに行って、料理を始めた。
(調理に際してもいろいろあったけど、割愛!)鶏醤油ラーメンができて、食べた。
彼は箸を使うのは初めてだそうで、試行錯誤しながら食べていた。

その日私のキッチンには3人のフラットメイトがいてくれて、私が連れてきた野郎がどんなやつなのか、見張ってくれていた。
(私は彼女たちに既婚者に誘われていて、少し罪悪感を感じていると話してたところ、うちらが見定めてあげるという強い姉御になってくれた)
食事を終えて、会話も終えてきたとき、そろそろ帰る?と聞くとそうだね、と言ってきたので、9時半頃にお開きになった。

彼のフラットまで借りたボウルと使いきれなかったチキンを返しに行ったあと、
「少し散歩しないか」と言われた。
割とお腹いっぱいで散歩したかったから、いいよ、と言ってキャンパス内を図書館まで散歩した。
互いの国について話していたとき、私はウズベキスタンで行ってみたいサマルカンドのことを話題に出した。青のモスクがきれいで、一回訪れてみたいと。
そしたら彼はこう言った。
「4月の大学院が休みのときに、ウズベキスタンに戻るんだけど、君も一緒に行かないか?」
???
なんか日本語にするとまたニュアンスが違ってしまうが、
つまりは一緒に来ないかということを言われたのだ。
当たり前だが彼は彼の妻が待つ家に帰るであろう。
私は何なんだ?一緒に行ったらどういうことになるんだ?
そして彼の妻は、謎に一緒についてきた日本人の女を見て何を思うのだろうか。

もうわからなくなって、たぶん何も返答しなかったと思う。
彼はその後も平然としていたのをよく覚えている。

その後フラットに帰ったあと、線引きをしっかりしよう、そう心に決めた。
もう自分の中でごにょるのは勘弁だ。なぜ私は罪悪感を感じなければならないのか、そしてなぜ向こうはあんなに平然としているのか、と少し腹が立ったのだ。

そしてこれを書いている今は、まだその線引きについてconfrontできたわけではなく、
ただ連絡を取るのをやめている状態だ。
このままfade outできるならそれでもいいし、
今後も友人としての関係を続けるのであれば、
彼が何を思って誘っているのか、罪悪感を感じる必要がないということを明確にしてから、
関わるなら関わっていこうと思う。

そんな留学11週目の出来事でした。


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